副業で開業届を出さないとどうなる?開業届を出さないことによるデメリットを解説
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そもそも開業届とは?
最近では多くの企業で副業が解禁されつつあります。既に副業を始めている方もいらっしゃるでしょう。
「会社員でも副業をするなら開業届って必要なの?」 「副業をしているのに開業届を出さないとどうなるの?」 これから副業を始める方や、もう副業を始めている方はこのような疑問を持つかもしれません。
そこで以下の点についてご紹介していきます。
・副業するなら開業届の提出は必要か?
・開業届を提出しないとどうなるのか?
・開業届を出さないデメリット
この記事を読めば、あなたは開業届の提出が必要かどうかが分かるでしょう。 ぜひ最後までご覧ください。
私は、会社員として働きながら副業でWEBデザイナーをしています。
先日、フリーランスの友人に「会社員の場合でも、副業しているなら開業届を出さないといけないよ。」と言われたのですが本当ですか?そもそも、開業届って何ですか?
開業届とは、正式名称で『個人事業の開業・廃業等届出書』と言い、 事業を始めたり、事業所や事務所を新設・増設・移設する場合に税務署へ提出が必要な書類のことです。
国税庁ホームページでは「新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続です。」と記載されており、事業を始めた人は開業届を税務署へ提出する必要があるんですよ。
副業に開業届は必要か?
会社員であるかどうかに関わらず、事業を始めた人は開業届の提出が必要なのですね!
でも、私の場合は副業ですし、事業というほどのものでは…
行っている副業が事業に該当するかどうかは、継続的に収入があるのか、一時的な収入なのかによって決まります。
アニーさんがWEBデザイナーとして継続的に仕事をされているのであれば、それは事業となります。
継続的な収入があれば事業所得、一時的な所得なら雑所得として扱われるのです。一時的な収入なら開業届は必要ありませんが、継続的な収入があれば開業届を出しましょう。
事業所得と雑所得の具体例は、以下の通りです。
■継続的な収入(事業所得)
・投資用の不動産を複数所有し、毎月収入がある。
・副業WEBデザイナーとして継続的に仕事をしている。
■一時的な収入(雑所得)
・不用品をフリマアプリで売った。
・趣味程度に動画をアップし広告収入を得ている。
開業届を出さないとどうなる?
WEBデザインの仕事は、継続的に依頼いただいているので事業所得に該当しますね…!私はまだ開業届を出せていないのですが、罰則などはあるのでしょうか?
所得税法 第229条では「居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から1月以内に、税務署長に提出しなければならない。」と定められています。
しかし、開業届を提出していないことで罰則や税務署から指導を受けるということは特にありません。
ただし、法律で定められているとおり、事業を開始した人には開業届を提出する義務があります。また、開業届を出さないことによるデメリットは多いので、提出することをおすすめします。
開業届を出さないデメリット
開業届は出さなくても罰則はありませんが、デメリットが2つあります。
・屋号入り口座が作れない
・確定申告で青色申告できない
屋号入り口座が作れない
開業届を出さなければ屋号入り口座を作れません。屋号とは、個人事業主が使用する商業上の名前です。屋号入り口座を作ることで、口座ごとにプライベート用と事業用に分けられるので、収支の管理や確定申告がしやすくなります。 また、個人名ではなく商業名で収入や支出などのお金の取引ができます。屋号を設ければ、顧客から「この人は事業として行っているんだな」という印象を受けることができるので、顧客からの信用を得られやすいでしょう。
確定申告で青色申告できない
開業届を出さなければ確定申告の際に青色申告ができないため、最大限の特別控除を活用したり、節税効果を高めたりできません。 少しでも節税したい方にとっては大きなデメリットとなるでしょう。
開業届を出せば副業が会社に知られる?
開業届を出せば、収入の管理がしやすくなったり、顧客からの信用を得られやすくなったり、さらには節税もできるのですね!私も提出しようと思います。ですが、開業届を出したら副業が会社に知られるのではないでしょうか?
開業届を提出することで、税務署から会社へ通知されたり、連絡が入ったりすることはありません。ですので、開業届を出すことで副業が会社へ知られることはありませんよ。
税務署を通じて会社に副業が知られることありませんが、住民税で知られる可能性はあります。
住民税の金額は前年の所得によって決まります。本業と副業の所得を合算して、住民税を会社から天引きするため、給与に対して住民税が多かったり少なかったりすると会社に知られるかもしれません。 ただし、住民税を会社から天引きさせない方法があります。確定申告の際に納税方法を「特別徴収」ではなく「普通徴収」で申告すれば、会社から天引きされません。後日送られる納付書にて自分で納税ができます。
しかし、住民税以外にも、副業について会社の同僚へ話したり、SNSで発信したりすれば副業が会社へ知られるリスクが高くなるので注意しましょう。
開業届の提出方法
ここまでのお話を聞いて開業届を提出しようと思うのですが、どうやって手続きすれば良いですか?
手続きは、開業届の申請書を管轄の税務署へ提出するだけで完了できます。
開業届の提出は簡単にできるため、時間を見つけて行いましょう!
開業届の申請書は税務署から用紙を受け取るほかに、国税庁ホームページからダウンロードもできます。紙ベースで提出したくない方は、国税の各種手続きを電子的に行えるe-Taxでも申請可能です。 書類に記入できたら、管轄の税務署へ直接持ち込みましょう。ただし、税務署の受付は平日8:30~17:00までのため、仕事終わりに税務署へ行くのは難しいかもしれません。その場合は、郵送で開業届の申請書を送ることも可能です。
開業届を出さなくても確定申告が必要な場合がある
手続きも簡単にできるので、明日さっそく提出しようと思います!
ちなみに、WEBデザイン以外にも副業としてブログを書いているのですが、一時的に発生する広告収入は雑所得になるので、開業届は不要でしょうか?
そうですね。副業の収入が雑所得に該当する場合は、開業届は不要です。
しかし、事業所得であっても雑所得であっても、副業による収入が20万円を超える場合は、確定申告が必要になりますよ。ただし、この20万円は収入から経費を除いた金額です。詳しく解説していきますね。
■確定申告が必要な場合
収入から経費を除いた金額が20万円を超える場合。
(具体例)
年間30万円の雑所得収入に対し経費15万円⇨残金は15万円のため、確定申告は不要。
年間30万円の雑所得収入に対し経費5万円⇨残金は25万円のため、確定申告が必要。
このように、開業届の提出は不要でも確定申告が必要になる場合があるため、収支を計算して確認しましょう。
副業でも事業収入があるなら開業届を出そう!
副業で収入がある場合の開業届についてご紹介しました。 継続して収入のある事業所得に該当するのなら開業届を提出する必要があります。 開業届を出さなければ、屋号入り口座を作成したり、最大限の節税をしたりすることができません。 開業届を出さなくても罰則などはありませんが、提出の義務はあるため、忘れないうちに税務署へ提出しましょう。