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コラム

IT事業者のAI時代における業務の未来について考えてみた

AI技術が進化していく中、私たちIT業界にも大きな変化の波が訪れています。

生成AIやFigma AIといった最新テクノロジーが私たちの仕事にどんな影響を与えるのか、そして私たちIT事業者はこの波にどう乗っていけばいいのか?

デザイナーのみっちゃんと一緒に考えてみました。

Figma AIなど既存のツールにもAIが導入されつつある

市原市原

ここ数年でAIが進化していっていますが、みっちゃんが担当しているデザイン業務において何か変化はありましたか?

みっちゃんみっちゃん

最近、主要なデザインツールである「Figma」がまだ試験的なものではありますがAI機能を発表しました。プロンプトを入力するだけでデザインを生成してくれるんです。例えば「レシピアプリのUIを作って」と入力すると、すぐにプロトタイプを作ってくれます。

みっちゃんみっちゃん

背景の削除やレイヤー名の整理なども自動でやってくれます。さらには、基本的なUIパーツ(ボタンやテキストフィールドなど)やアセット(画像やアイコンなど)がすでに用意されているので、それらを組み合わせるだけでワイヤーフレームが簡単に作れるようになりました。

*「Figma AI」について詳しくはこちら

みっちゃんみっちゃん

「Figma AI」のようなAIツールは他にも増えています。これにより作業工数を短縮できたり、知識が少ない人でも簡単にデザイン制作しやすくなったりといった点がデザイン業界における大きな変化ですね。

市原市原

へぇ、そんなのがでてるんですか。すごいですね。そういえば、昔画像の「切り抜き職人」がいて、背景削除などの画像の切り抜きや加工を専門的にやっている人がいました。ECサイトのモデルさんを撮影した画像をモデルだけ切り抜くような作業ですね。時間と労力のかかる作業だったので専任担当や外注さんがいました。

今はワンクリックでできちゃうので、その業務をしていたような人はいまはいないですよね。これと同じようにAIもいままで人がコツコツしてきたものを自動でしてくる。ということが起こるんだと思います。

みっちゃんみっちゃん

そうですね。デザインやUIでいうと、AIの出力をそのまま使えるレベルにはまだ達していないと感じています。例えば「天気アプリを生成して」と指示すると、 某社の天気アプリにそっくりなものが出力されるなんてことも。こうしたAIに関する著作権問題は実際に起きているみたいです。

市原市原

AIはまだまだ「人工知能」といった大層なものではなくて、大量のデータから類似性のあるものを抽出したりして出力するという、どちらかというと計算機の化け物のような感じですし。

ただ人間も何か作るときに他者の作品やサンプルを参考にしたり調査しますが、このプロセスを機械化して出力してるイメージかもですね。天気アプリの話も某社のアプリ情報を学習データとして読み込んだ結果としてということだと思うので。

みっちゃんみっちゃん

楽にいい感じの「たたき台」を出してくれるぐらいにはすぐなりそうな気がします。

AIによって手間のかかっていた作業が大幅に効率化できそうなのは目に見えてますし、AIのアウトプットの精度が上がり続けたとしたら、そう考えると、先ほどのような画像の切り抜きなどの単純作業をしていた人がいなくなったように、デザイナーはAIに業務を奪われてしまうんじゃないかといった不安は感じますね。

市原市原

可能性はあると思います。とはいえある日突然ということではないです。画像切り抜きをしていた人たちもニーズがある領域を自然と模索し別の活路を見出してキャリアを積んでいるはずです。

また、時代が進むにつれて新たな職種が生まれることもあって、IT業界で言うと「データサイエンティスト」はここ数年で聞くようになった職種ですしデータ周りの話一つとっても以前から似たような役割を担っていた人はいたと思います。それが高度化、先鋭化して専門職が求められるようになったという。業務が先鋭化することで、職も細分化したりで、仕事が減ったイメージはあんまりないです。

AIも実業務に浸透していけば逆に職種が増えるんじゃないですかね。ただ今よりも少人数でプロジェクト対応ができるようになるかもしれません。

みっちゃんみっちゃん

なるほど。昔からある業務の専門性が高まって新しい職種が生まれるパターンがあるのですね。

市原市原

AIに関しても専門性を高めて効果的に活用する仕事が出てくるでしょうし、既存の職種もAIをうまく使える人材が重宝されていく気がします。

実際、先程みっちゃんが話していたようにAIのアウトプットがそのまま使えるクオリティではないので、チューニングやブラッシュアップの部分を請け負ってほしいといった需要はすでにあると思います。あとは、こういったAIの限界を理解したうえで効果的な活用方法をアドバイスする「AI活用コンサル」みたいな職種も出てきそうですね。

また個人だけではなく企業としてもAI開発をメインとするベンダーとかでてきそう。通常よりも安価で迅速な開発ができることを売りにして…こういった企業が成功すれば、業界に大きな変化をもたらすかもしれません。

AI時代に価値を発揮できる人材とはどんな人なのか?

みっちゃんみっちゃん

AIの台頭を受けて柔軟に業務を進化させたり、新たなニーズを満たしたりしていける人材や企業が重宝される時代になっていくということですね…。

このような時代に自分の市場価値を高めるにはどうしたら良いのか…

市原市原

AIが進化しても人間にしかできない部分は残るので、その分野のスキルを高めることが大事かと思います。例えば、顧客折衝や企画詰め、要件整理、営業など対人の部分や、ディレクションやマネジメントなどの上流工程、つまり人が意志決定しないといけない部分は「誰か=人」が担う必要があります。

自分も打合せや商談、プロジェクト進行をする中で感じていますが、結局のところ「意思決定」が一番のポイントになりますしね。

例えば簡単なLPサイトひとつとっても、色合いはこれでいこう、ロゴはこれでいこう、キャッチコピーはこれでいこうと、一つ一つそこまで意識していないかもしれませんが細かい決定を積み重ねてるわけです。

AIは迅速にいろんな案を出してくれますが、意思決定やクライアント折衝は自分で行う必要があります。仮に市原AIというものを作ったとして「A案とB案を提案され、A案が良いと判断し契約しておきました」と決定までされたら怖すぎるでしょ。

みっちゃんみっちゃん

確かに怖いですね(笑)AIが提案から意思決定までした場合、責任の所在もどうなってしまうのか。

市原市原

決断には責任が伴いますからね。そう考えると「決断」はAIにはどこまでいっても担えない部分だと思うし、人間の尊厳に関わる要素なのかもしれません。

AI時代において自分の価値を発揮するためには、決定できる範囲や事柄を増やすことや、決定に影響を及ぼせるようになるといいかもしれませんね。そのためには自分の考えや想い、捉え方などを磨くとよい決定に繋がるかも。

みっちゃんみっちゃん

AIが出力してくれたものをそのまま納品しても達成感はないですし、AIが提案してくれたキャッチコピーをそのままクライアントに勧めるのもなんか違う気がします。自分の考えや想いのようなものがのっていないというか…

市原市原

何かを決めるにはそこに自分の考えや思いといった思想や哲学的なものが関わってくるものだと思います。

昔ベストセラーになった『バカの壁』という本に「人間の脳は『y=ax』の計算式で表現できる」という話がありました。「x(インプット)にaがかかってy(アウトプット)が生まれる」という式ですが、「a」は個人の考えや経験、好みなどを示しているので人によって異なります。なので同じインプット(例えば食べる)でも人によってアウトプット(例えば「美味しい」「美味しくない」)が違ってくるんです。

逆を言えば「a」がなければ「y=x」となり誰が何を食べても同じ感想になります。「a」があるからこそ「y」の価値が生まれるということなんじゃないでしょうか。

この「a」の部分、つまり個人の思想や経験、好みなどがAI時代に自分の価値を発揮するために重要になるかも。例えば、デザインを提案する際、AIの提案を「これでいいんじゃないですか」と単に提示するのか、それとも「こういった理由で貴社に適していると思います」としっかりと論じられるのかでは、顧客の共感や信頼感がまったく違うし。

顧客側もいいアウトプットが欲しければ一般的な要件定義(インプット)に加えて、自社の理念や思想などといった独自性(a)を提示することが重要になりますし。

みっちゃんみっちゃん

確かに、AIはある程度のクオリティのものを瞬時に生成してくれますがそこに独自性はないですもんね。その人なりの感性や考え方が反映された制作や提案じゃないと顧客の心も動かないと思います。AI時代を生き抜いていけるクリエイターになるためには欠かせない要素ですね。

まとめ

みっちゃんみっちゃん

誰でもAIを使えばある程度のクオリティのものが簡単に生成できるようになった時代だからこそ、プラスαの価値が高まっていますね。

市原市原

先程の「y=ax」の話で、「a」つまり個人の思想や経験、好みなどを反映させるからこそ、その人ならではのy(アウトプット)が生まれるので、自分にとっての「a」は何なのかを深く理解できれば、他者との差別化も図れるかもしれません。

「a」は抽象的な概念ですが、自分の経験や思想、感性などが凝縮されたとても奥深いもののはず。これは個人のクリエイターだけでなく企業にも言えることで、理念やミッション、これまでの歴史などその会社ならではの部分があるからこそ、その会社のアウトプットに価値が生まれるんじゃないかと。

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