TCG業界の変化とその魅力。TCG専門店「TableGameCafe’Shuffle」インタビュー
Crewto®では新規サービスとしてトレーディングカードゲーム(TCG)ユーザー向けアプリ「TCG GATE」を2024年夏リリースに向けて開発中です!
*「TCG GATE」の詳細はこちら:TCGユーザー向けアプリ「TCG GATE」プロジェクト
* 開発背景についてはこちら:なぜCrewto®がTCG業界、そしてFlesh and Bloodに注目するのか
TCG業界の実情や現場の声を踏まえニーズにあったアプリを提供すべく、TCGをはじめとするテーブルゲームを取り扱う「TableGameCafe’Shuffle」の松尾さん、中島さんにお話を伺う機会をいただきました。
TCG業界の実情からその魅力や将来性など、TCG歴の長いおふたりに語っていただきました。TCGファンの方もあまり馴染みのない方もぜひご一読くださいませ。
Contents
TableGameCafe’Shuffleについて
ー本日はどうぞよろしくお願いします。まずはじめにお二人の自己紹介をお願いします
「TableGameCafe’Shuffle」の店長をしています松尾です。
お客さんには「マスター」と呼ばれています。
「TableGameCafe’Shuffle」の店員の中島です。お客さんからは「ナカシー」と呼ばれています。お店がオープンした2016年から働かせてもらっていますが、マスターとは前職のバイトからの出会いで10年以上の付き合いです。
ー「TableGameCafe’Shuffle」はどのようなお店なのでしょうか?
大阪府寝屋川市の郊外にあるテーブルゲーム専門店です。
主にトレーディングカードやボードゲームを取り扱っていますが、販売だけでなくお客さん同士が遊べる場も提供しています。
2016年の4月にオープンし、今年で9年目になりました。
ーお店の中でトレーディングカードやボードゲームで遊べるんですね
はい。私達は商品の販売よりもお客さんにテーブルゲームを楽しんでもらう場作りをメインにしています。
というのもShuffleのコンセプトは「テーブルを囲んで”一生の”友達をつくろう」というもので、同じテーブルで対面で一緒にカードゲームやボードゲームをすることで友達になれる、
そんな場にしたいという思いでお店を開きました。
2時間でも3時間でもしっかり腰を据えて遊んでもらいたいなという気持ちで営業しています。
私達スタッフとしても、お客さんに相席を促したり一緒にゲームに参加して話しやすい雰囲気作りといった、
初対面のお客さん同士でも仲良くなれるような環境を大切にしています。
ー素敵なコンセプトです!マスターがお店を立ち上げたきっかけはどういったものだったのでしょうか。
私の長年の趣味がカードゲームで、小学生の頃から「遊戯王」や「ポケモンカード」にハマって以来ずっと好きなんですが、
のめり込んでいた10代後半〜20代の頃に近所のカードショップがどんどん潰れていってしまったんです。
ショップの経営者さんたちが比較的高齢ということもあり閉業してしまうお店がほとんどでした。カードショップが閉店する寂しさもありなんとかしたいという思いがありました。
お店を立ち上げた経緯
ーカードショップを開業する決め手となったことはありますか?
カードゲームは他のホビー商品、例えばプラモデルやTVゲームなどに比べてスペースをあまり取らない商材なので、少ないスペースで商品資産を持つことができます。
開業を考え始めた時はまだ20代でしたが、会社員を辞めて独立しようと決意できたのは、トレーディングカードが持つこの特性が大きな部分です。
また、当時は手軽にユーザー間で売買できるようなフリマサイトもそこまで普及していなかったこともあり
カード価値が比較されにくく、お店で販売するカードの値段をある程度自分で決めてもその値段で売れる傾向もあったので経営しやすかったという側面もありました。
ー「TableGameCafe’Shuffle」は大阪府内でも都心ではなく郊外の地域に出店されておられますが、何か理由があられたりはしたのでしょうか
私が幼い頃から通っていたカードショップはほとんどが個人店だったんですが、そういったお店は店員とお客さんとの距離が近く、そのスタイルに昔から憧れていたこともあり難波などの中心地ではなく郊外に開店することにしました。
昔と最近のTCGの違いや変化
ーお店をオープンされてから9年目とのことですが、長年経営されているなかで「最近のTCG業界は変化したな〜」と感じることはありますか?
TCG業界自体の変化としては、カードの資産価値がとても高騰していることです。
ネットやスマートフォンの普及もあってカード価値がより可視化されやすくなり、昔よりも二次流通がフリマアプリなどでしやすくなったことで、単なるコレクションされていたものが資産価値の側面が強くなりました。
カードの所有目的も変化し、コレクションや実際にカードゲームを楽しむということではなく、投資的に転売するための「商材」として購入する方もいらっしゃいます。
私たちとしてはお店のコンセプトにもあるようにカードで遊んで楽しんで欲しいという思いが強いので、単なるお金儲け目的でカードを所有する人が増えてしまったのは残念ではあります。
ただそれをきっかけしてTCGに興味をもったり実際にゲームプレイを楽しむ方も出てきているので、理由はともかく触れていただくきっかけにはなっているのかもしれません。
ー今後、TCG業界はどうなっていくと思いますか?
2020年ぐらいから業界としてすごく伸びていて、これは今の20〜30代の人たちの影響が大きいと思います。
というのも彼らは子どもの頃に「遊戯王」や「ポケモン」が流行った世代です。小さい頃から親しんできた世代が大人になり、趣味にお金をかけられるようになったことで、カードゲームは子どもだけでなく「大人の趣味」としても人気があります。
ポケモンカードだけでなく、近年リリースした「ONE PIECEカード」や「ドラゴンボールスーパーカードゲーム フュージョンワールド」などは親子共に楽しまれていたり、いまやTCGは「世代を超えて楽しめる趣味」になりつつあります。
きっとその子どもたちも大人になってTCGをプレイしてくれるんじゃないかと思うので、TCG業界の未来は明るいんじゃないかと感じています。
ー子どもの頃好きだったことが、大人になって再燃するというのはありますね!
私自身も長年カードゲームが趣味で、この先もずっとやっている気がしますねw
お年寄りの方々の趣味といえば将棋や囲碁のイメージがありますが、私たちがおじいちゃんになった頃にはカードゲームになっていそうです。
それに今後はAR/VRなどのテクノロジー融合によって「自分の持っているカードのキャラクターが目の前で3Dとして表現される」なんてことが実現するんじゃないかと思いますし、今後のTCGはよりエンターテイメントとして発展していくんじゃないかと期待しています。
ーVisionProのようなAR/VRゴーグルなどが出てきたりしていますし、TCGとテクノロジーの融合とはワクワクしますね。
今年からスタートしたドラゴンボールの新規TCGではリリース初期からオンライン対戦ができる環境を整えてリリースしていますし、こういったデジタル化に対応したTCGタイトルは非対面コミュニケーションが増えた現代においては、流行るための必須条件になりつつあります。
Shuffleでも新タイトルを採用する時はネット対戦対応しているタイトルを選ぶようにしています。
お二人が思うTCGの魅力
ーTCG自体の在り方も変わってきているんですね。
そうですね、しかし私たちとしてはテーブルを囲んで対面で遊ぶというアナログ感こそTCGの魅力だと思っています。
コロナ禍以降リモートの普及もあって実際に会ってコミュニケーションをとる機会が減っていますが、その分対面で会った時の良さを再認識できたのではないでしょうか。
カードゲームをするために友達と会ったり、たまたま集まった人たちでカードゲームをして仲良くなったり。そんな人との繋がりを作る手段としてTCGが残り続けると嬉しいです。
ーTCGならではの魅力などはあったりしますでしょうか?
私が思う一番の魅力は、ルールさえ分かれば外国の人とも遊べる、相手の言葉が分からなくても楽しめるという点です。
言葉がいらないコミュニケーションツールってなかなかないと思います。しかも勝敗が決まる遊びなので「勝って喜んでいる」とか「負けて悔しがっている」とか相手の感情や性格なんかもゲームを通じて伝わります。
単なる会話ではなかなか感じられない部分をカードゲームを通して感じることができるのはTCGの醍醐味だと思います。
ほかにも、TCGは一度辞めてもまた始めやすいといった特長もあります。
例えば中学生でカードゲームを始めたけど、それ以降プレイする機会がなく、10年経った頃にまたやってみようと思ったとしてもルールがほとんど変わっていないんです。
しかも昔に買ったカードに価値が高くつく場合もあって、それを売って新しいカードを買うこともできますし。カードゲーム熱が再燃した時に気軽に始めやすいという点もTCGの魅力の1つだと思います。
TCGにはじめて触れる人が楽しめるための取り組み
ーこういった魅力があるからこそ、ハマる人が多いんですね。
最近のTCGは「スポーツTCG」と言われるほど競技性が高いカードゲームが増えてきています。
日本では賞金を出せるカードゲーム大会は景品表示法で制限されていて難しいのですが、Flesh and bloodの大きな大会になれば、数千万円の賞金がでたりします。
カードゲームが競技化する動き自体は、eスポーツのようなプロ化の流れと似ているところがあり、今までカードゲームに馴染みのなかった人たちが興味を持つきっかけにもなっているので今後の盛り上がりにも期待していきたいですね。
ーなるほどですね、真剣に向き合える競技化の側面が強くなってきているんですね。ただそういったことはまだまだ一般的には知られてはいないですよね。
そうなんです。
私たちもどうやったら新規のお客さんを増やせるのかといったことをよく話しをします。
色々考えた結果一番有効かなと思っているのは、カードゲームそのものに興味を持ってもらうのではなく、全く別の入り口からカードゲームに触れてもらう方法です。
例えば「好きなYouTuberやVTuberが最近このカードゲームにハマっているから自分も始めてみた」といったケースですね。
当店でもボードゲームで遊びに来てくれたお客さんたちに対してカードゲームではなくデジタルゲームを一緒にしないかお誘いし、仲良くなっていくうちにカードゲームの話題を出してみるといった工夫をしていますよね。
そうそう。トレンドになっているコンテンツにまずは触れてもらって、ハマってくださったらよりディープなものをお薦めしていくことが多いですね。
メジャーな「ポケモンカード」のパックを買いに来たお客さんと一緒にポケモンカードで遊んで、次第にこんなカードゲームもあるんですよと、他TCGの紹介してみるということもありました。
といっても決して強制するわけではなく「よかったら触れてみてくださいね」といったきっかけ提供を大切にしています。
当店はカードの販売だけでなくその場で遊べるカフェスペースも営業しているので、例えば商品を買ったらカフェ利用が1時間無料になるといった取り組みもしています。
新規のお客さんに対してはメーカーから配布される「ウェルカムパック」を無料でお渡しして、まずはTCGに触れてもらったり、カード資産を持ってもらうことを大切にしています。
ー「TableGameCafe’Shuffle」の今後の展望を教えてください!
今後の展望は現在模索中です。
というのも、これまでは賃貸物件で営業しており自分のお店を構えることを目標にやってきて、昨年ついに物件を購入でき目標達成したばかりなんです。
なので明確な次の目標があるわけではないですが、うちのような個人店が大型チェーン店やフリマアプリなどのネット市場に負けないために、個人店同士の横の繋がりを強化することは昔も今もすごく意識しています。
今後の展望については改めて考えていきますが、「経営者としてどういう夢を描いていくか」という視点と「TCG業界の発展にどのように貢献していくか」という視点のどちらも大切にしていきたいですね。
ーTCGがもっと盛り上がるためには何が必要だと思いますか?
まだ先になるかもしれませんが、eスポーツのようにTCGも盛り上がる可能性はあると思います。
通常のスポーツに比べて誰でもチャレンジしやすいこともあるので、スポーツTCGのプロプレイヤーを目指す人も出てくるでしょう。こういった人たちがSNSなどで情報発信すれば、さらにTCGに興味を持つ人が増えることも期待できるかもしれません。
「Flesh and blood」も世界大会があったりするのでそこで日本人が優勝するなど、世界で活躍するプレイヤーが出てくれば様々なメディアで取りあげてもらえる可能性があるので、そういったTCG界のヒーローが出てくるといいかもしれませんね。
Crewto®としてもアプリなどのサービスを通じて業界発展に寄与できればと思っております!
貴重なお話ありがとうございました!
TableGameCafeShuffle テーブルゲームカフェ シャッフル
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